2013年3月7日木曜日

ジャスミンの花




あんまり暖かすぎるのはいけないと言われて、ヒーティングのあるホールではなく、キッチンに飾ったジャスミン。



おかげでここ連日は、私達のフラットは玄関ドアを開けるとすぐにキッチンという作りになっているため、


外から帰ってきてドアを開けたとたんに、



ぱーーーーーーーーーーっっっとジャスミンの香りが襲ってきて、



まるで南国にいるみたいに気持ちがいい。



今まではどんなに気を付けても、味噌のにおいなんかがどうしてもぷんとすることも多くて、帰宅するたびに5秒は盛り下がっていた。




外から帰ってきて最初に生活臭を意識するのはなんとも哀しい。




これからできればずっと、こんなノスタルジックな香りに包まれて生活したいと思うのだが、


どうすれば可能なのかな?



そういえば、一人で生活している時はお花を飾ったり、アロマを使ったりしていたのだけど、


ニックと一緒に住み始めたら土曜日の朝にバラを愛でている時間は消滅していき、


日曜日の夕方にアロマ選びに時間をかけるなんてこともなくなった。






ところで、17年以上前、友達の両親の家に3か月以上もお世話になった時があり、その時の一番の思い出がその家の素晴らしい香り。



なんともいえない、ものすごく良い香りが家中のそこかしこにいつも漂っていて、私が思いっきり吸い込んで楽しんでいると「何やっているの?」とよく笑われたものだった。


芳香剤じゃそんないい香りがないだろうし、隠れた場所でアロマを焚いているわけじゃないだろうし、


なんだなんだと辺りを嗅ぎまわるけれど、何もみつからない。



とうとう我慢できなくなり、


そんなに良い香りがずっとしているのは絶対変だ、なにかあるぞと思って、どんな秘密があるのか友達のお母さんに訊いてみた。



すると。



「実はね、この家を買う前に下見で来た時に、私もあなたと同じようにこの香りにノックアウトされちゃったの、それで、即決でこの家を買ったのよ!」



と彼女。




「私も元の持ち主にその時に訊いてみたの。そうしたら、多分彼女が使っている香水の残り香のせいじゃないかと言われたわ。香水の残り香って感じの匂いじゃないと言うと、彼女は自分では気が付かないし、よく分からないけど、香りって言ったらそれしか思い浮かばないしって言うのよ。ずっとその香水しか使ってなかったせいじゃないかと、そう言われたわ。」



と笑顔で言う。




「だから、その日を境に、私もその香水に変えたのよ。だって別の香りをミックスしたくなかったから!」


と付け加える彼女に、





すごいな。


スケール大きいな。




と、さすがの彼女に改めてびっくりした私だったのだが。



でも、そんな香水の残り香のような匂いじゃないような、もっとなにか、フレッシュな、それでいてゴージャスな香りを家の下見で嗅いでしまったら、



全ての女の人が確実に心動かされる物件に違いない。








とにかくそれ以来、私もその香水を頑張って使い、しまいには部屋にも振り撒いてもみたのだが、


何年経っても、




ちがーーーーーーーうっっ!!



こんな匂いじゃないーーーーーっっ!!!




と、結局、諦めたのだった。









そんな彼女とは2年前、15年振りに再会できた。


もうすでに引っ越していて、初めて訪れることになった彼女の家に到着すると、


玄関のドアを開けて大きな抱擁で出迎えてくれた。

 

すると。




素晴らしく良い香りがぷわ~~んと漂ってきて、瞬間、



「やっぱりいい匂い~~~~~~~~~~!!」



と、挨拶もそこそこに叫んでしまった。


やはり香水の残り香とは違う、アロマとも違う、なんともいえない良い香り。



結局のところ、もともとの彼女の生活の仕方に関係があるんだと確信した私だった。









さて、ジャスミンの花の香りのせいで、再び香りの大切さを痛感するようになってしまった。


ジャスミンの花の時季は短いから、それを過ぎたらどうしようか。



せっかくアロマの本拠地・イギリスにいるのだから、


またそっちにでも手を出してみるか、、、などと考え始めているのだけど、、、




香りって難しい。







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