今回は砂糖なしの甘くないタルト生地で作ってみた。
”バート・ブリゼ”というらしい。
ブリゼ、壊れた、とかいう意味らしい。
口の中に入れるとほろほろっと壊れてくれるかどーか、、、
とにかく実験を開始した。
そこでレシピ変更覚え書き。
1: まず、ベーキングシートを敷き、そこへ薄力粉250gをドバッと置く。
2: 冷たいバター125gを1の真ん中にドボッと置き、あんまりシャープじゃないもので角切りにしていく。 どんどん素早く小さな角切り。
3: 今度は手でこすり合わせてサラサラサラサラ、バターが解けないようにこれも手早く。
4: 3に、卵黄1個、塩少々を足して、水60gを少しずつ加えながら、まとめ合わせる。こねない。
粉も見えるような大雑把な出来上がりをラップして冷蔵庫に入れる。
1時間以上したら取り出して、180度のオーブンで焼き色がつくまで焼く。
今回、気をつけたことは、ベイキングボールをタルトの隅まで置いたこと。
前回は、それをしなかったから、隅のほうが膨れてしまって食感が悪かった。
う~~~む。
私、学んでいるね~。。。と悦に浸ることしばし。
タルトも2回目だと少しは手際がいいね~と自賛しながら、オーブンから取り出したら溶いた卵を塗って、あと2,3分焼いて、終わり終わり、、
と、鼻歌交じりで生地を出した。
硬直。
なんと、なにもタルト生地の上に敷かずに、そのままじかに、ベイキングボールを置いてしまっていたのだった。。。。。。。
どうやって、ベイキングボール出すの~~~~っっ!??
ニックが優しく、
「大丈夫だよ、箸で取れば」、と。
箸~~~~~~っっっ?!!
わたし、箸あんまり上手じゃないんだよ、知ってるでしょ~~~っ?!!
と言うと、
「簡単にできるから」
とニックにっこり。
いいお人や~~~~~。。。
なんて、出来たお方なんや~~~。。。
そして、なんとか(ニックが)ボールを箸で一粒一粒取りだした跡がこの写真。
ぼっこぼこ☆!!!!!!
こんなの、見たことがない。。。。。
あり得ない。。。。。。。。。
そして、また焼きすぎ、
杏のタルト。
マズそうだ。。。
でも匂いは杏の良い香り。。。
さて、今晩のデザートははたして食べれる物なのか?!
しかし私ってお菓子作りにとことん向いていないね。
こんなにお菓子がまずい国イギリスに住んでなかったら、
まず絶対に作ろうなんて思わないね。
今日は父親の10年目の命日。
10年。
私、10年、なにしてたんだろ??
人間て、大切だった人の命日を数えながら、
ある日ものすごく年を取っているんだな。。
先ほど母に電話して、父の遺影の額縁を開けてみてと言った。
中には4月に日本に里帰りした時にこっそり忍ばせてきた2万円。
お金を渡すとくだらないものを買う癖のある母だから、この日まで隠れていなきゃいけなかったお金だ。
電話しながら、さぁ言おうと思って何回も言いだそうとするも、しかし、会話の雲行きがどんどん怪しくなり、
もう今日はいーや、また彼女の誕生日にでも言おう、、と、
そう思いながらも、いやいや父の供養なんだし、、、と迷っていると、
母親が、
「スーパーで、2000円、高いのは3000円もするし、ごめんね、お父さん、今回はウナギ我慢ね、、って思ったの~」
と言うからドンピシャなタイムリー、
遺影を開けてと言った。
開けて、なにこれ~??! とびっくりする母親。
弟家族も一緒に父親の好物だったウナギでも食べてね、、と言ってみたはいいが、
考えてみると、弟家族は4人、母親と妹で6人なんである。
食べれるのは3000円のうなぎ、、、のみ。
肝のお吸い物だの、卯巻きだの、食べれない。
ウナギの相場は分からないけれど、
今年は捕獲量が低く、高騰しているというし、さっき母もスーパーでさえ2000円3000円と言ってたではないか?
う~~~~~む。。。
鷹揚に、
「これでみんなで(なんでも)食べな!」
とか言ってみたかったけれど、
お金がないのにお金で格好つけるのって難しいもんだな。。。
母親は、電話口でまだ”あ~、びっくりした~!”と続けている。
じゃーね、また電話するね、と切ろうとすると母が言った、
「これで青山行っていい?」。
あ・お・や・ま?
青山??
あおやまって???
と言うと、
「谷村新司のコンサート、これで2回行けるわ~!」と。
なーーーに、言ってんの!!
冗談にもほどがあります!!!
と笑うと、母もケラケラ笑って、
「そんな~、冗談だけどぉ~」
と言いながら、
「でもね、おかーさん、ぜったいに谷村新司に会いに行きたいから、そんな情報あったらお願いね!」
だと。
そして付け加えた、
「冗談じゃないからね」
と。
4月、遺影の中にお金を隠そうと引っ張り出したその裏には、
「谷村新司・ハミングコンサート」
と書かれた大きな額ぶち写真が置かれてあってびっくりした私、
この母親が冗談を言っていないことは充分わかっている。
ウナギを食べに行く日まで、お金はまた遺影に戻しておくこと、
くれぐれも、谷村新司の写真の額の中には入れないようにと、
指示を出して、電話を切った。
そんなこんなで穏やかな10年目である。