2013年3月31日日曜日
カフェ・ルージュ
カフェ・ルージュのタダ券の有効期限日が今日まで、、ということで、体調が優れないのに体を引きずるようにして出かけて行った、貧乏人ド根性の私。
前日から調子が悪かったので、外出は無理そうだと予想した私はこの日の朝まで「かなりの金額のタダ券だから無駄にするのはもったいない、お願いだから一人で行ってきて」とニックに頼んでいたのに、
間際になったらやっぱり行きたくない、と彼は言い出しだ。
1人で食べるのが手持無沙汰なら、新聞でも片手に、たまには一人でのんびり食べるのもいいんじゃない? ステーキとワインでサラダなんかも頼べば、立派なロンドン独身男生活だよ!
とけしかけるも、
やっぱりあんまり行く気が出ないニック。
かといって、チケットを無駄にするよりは今からでも駅の周辺で誰かにタダ券をあげればいい、、という私の提案も、無精なニックはしたくないらしく、
それじゃあ、、、と体を引きずってまでのお出かけとなった。
ちょうど日本食スーパーでお味噌も買いたかったしね、、と買い物を済ませたらすぐにカフェ・ルージュに直行した。
時はイースターとあって、店内は家族でギュウギュウの混雑ぶり。
相変わらず飽きもせずに同じものを頼むと、今日もまたとってもおいしそうに出てきた鴨のコンフィなのだった。
あぁ、、、なんて旨そうなんだ!!と嘆くもやはり食欲は無く、
それでも驚くことに一口でも二口でも頑張って食べようとする、やはりここでも貧乏人いやしんぼうド根性な私なのだった。
自分でも呆れたわ。。。
でも見て!
写真にでさえ、美味しそうに写っている、私の大好物のインゲン豆!!
つやつや光っていて、手を伸ばさずにはとてもいられなかったのだよ。。。
結局はステーキも鴨のコンフィもサラダもフライドポテト2人分も、
レモン・プレッセと一緒にニックのお腹にきちんと収まったのだった。
その旺盛な食欲を目の当たりにして、少なからずもショックを受ける私。。。
そういえば、最近の私の体調が悪いから、ニックもあんまり食べていないよね、
だから多分ずっとお腹がすいていたんだね、ごめんね、、、と申し訳ない。
しかしニックは言う、
「このステーキ小さいよ!」と。
確かにね、こうして見ると、小さいね。付け合せのフライドポテトがバカバカしいほど大きく見える。
ちゃんとレアだよ、美味しそうだよ、と喜ぶニックだったが、
それを見ながら、
そういえば、このカフェ・ルージュのお得バウチャーのお知らせで、
2番目のメインディッシュが2ポンド50!!とかっていうのがあって、
つねづね、誰が2番目のメイン食べるんだ??と思っていたけれど、
ニックとか、かな、、、と改めて感心したのだった。
でも、私が頼んで食べれないからニックは食べたけれど、
わざわざ2皿目のメインを頼むかどうかは甚だ疑問だ。。。
そんな訳で、しっかりとタダ券を使って満足した日だったのだが、
いつ何があるかわからない、タダ券はさっさと早いうちに使ってしまおう!
という教訓を改めて肝に銘じた私だった。
2013年3月30日土曜日
ポーリッシュで作ったバゲット
前々からとっても興味があった、「カリフォルニアのばあさん」のポーリッシュで作るバゲットにとうとう手を出してみた。
なぜ興味があったかというと、彼女の動画で見ることが可能な’’ポーリッシュで作るバゲット・パート2’’で、出来上がったポーリッシュに水を入れてボールから剥がすその様子が、
なんともゾクゾクするのだ。
表現が変か?
いやいや、ゾクゾク、本当にするんですよ。
かゆい背中に手が届いて気持ち良いような、
やっと治りかけの傷口のかさぶたを無理やり取るような、
そんな感じ。
それで、やってみたいやってみたい、、と思いながら、なぜこの日まで延ばしていたかというと、
それはその後に続くレシピの大さじとか小さじの計量が苦手だから、ということに尽きる。
いつもg数を量って作る私は、ちょっと尻込みしていたのだった。
でも、まぁ、いいか、、、とこの度めでたく脱皮の心境。
そうしてポーリッシュは出来上がり、そこへ水を入れてボールから引き剥がすという心待ちにしていた作業にとうとうご対面。
想像していた通り、それはそれは心躍る作業だった。
さて、「カリフォルニアのばあさん」様はどうやって作っているのか、
ここに大雑把にポーリッシュのg数を覚え書き。
- 50gの薄力粉と50gの強力粉
- 水85g
- インスタントドライイースト チョビ~っと。
写真は一晩置きっぱなしで作ったポーリッシュに、朝、再び水85gを入れて引き剥がした様子。
- 87gの薄力粉、87gの強力粉
- 砂糖4g
- 塩5g
- インスタントドライイースト チョビ~っと。
- レモン水 3滴
1;上記を混ぜて、ポーリッシュに加え、箸で簡単に混ぜたら、手で捏ねる。3分。
2;サラダオイルを薄く塗ったボールで6時間ほど発酵させて、成形に入る。
これも私流のテキトーさ。念のため念のため。
やはり料理とは性格が丸ごと出るもので、作業をしているうちにどんどん「カリフォルニアのばあさん」様のものとは変わっていく私のバゲット生地だったのだが、
今回はとにかく、’’ポーリッシュを水でボールから引き剥がす’’という行為がしたいが為のものだったので、大満足だった。
しかも、ボールにサラダオイルを塗るなんて!!
おかげで成形の時には、「カリフォルニアのばあさん」様の動画のように、生地がぶる~ん、ぶる~ん、として、気持ち良かった~~!
私が好きな、RICHARD BERTINETさんが言う;’’やってはいけないこと’’をたくさんしていても、
とっても楽しい。
結局のところ個人のパン作りなんて自分が納得する作り方を自分のオーブンと格闘しながら育て上げていくしかないのだなと思う。
なんていったって、私が普通に手に入れる粉にも家のオーブンの温度にも制限があるんだしな。
そして出来上がったパン。
’’なまこ’’みたい。。。
「カリフォルニアのばあさん」様のは、もっとずっと、綺麗なんだよな~。。。
なんていうか、パンの音が聞こえてきそうな、というか。
やはり私が作るパンは相変わらず形がカッコ悪いが、今回ばかりはポーリッシュ初体験が楽しすぎて、それさえもあんまり気にならず。
切ってみたら、気泡もあんまりパッとしないけれど、それでもとにかく楽しかったパン作りだった。
多分、私にはイーストを少なく入れるクセがあるにもかかわらず、ポーリッシュの発酵時間が短すぎたのだと思う。彼女のものと改めて比べてみると、ブクブクの泡感が少なかったように思う。
そんな失敗作でも、周りはパリッと中はモッチリと本当にしたので、ニックはとても気に入ったようだった。
再度挑戦決定。
動画で「カリフォルニアのばあさん」様の出来上がったバゲットを切る音を今夜も寝る前にベッドで聞いて、バゲット作りの意欲を高めようと思う。
2013年3月24日日曜日
ゴッドファーザー 3 ;ソフィア・コッポラ
その当時、とうとうゴッドファーザー3の制作が始まるとなって、じゃ、誰がマイケル・コルリオーネの娘役をやるんだ?!!と、世界は大騒ぎした。
映画月刊誌や新聞などでそれ関係の記事を読み漁っていた私は、少し経つと流れてきた、”ウィノナ・ライダーになる可能性が大!”というニュースに意気消沈していたので、
”ウィノナ・ライダー降板!”に大喜び、あとはもう、誰がなってもいいや、、、と思って気にもしなくなったのだったが、
少しすると、コッポラ監督の娘に決まったとなって、またまた世界中が大騒ぎしたのだった。
結局のところ、
映画が出来上がるずっと前から皆がこぞってその出来をコキ下ろし始めたパート3は、
いったん映画が公開されたらそれはそれはハンパない酷評だらけになることは最初から明らかだった。
そしてそれの殆どはコッポラの娘のソフィアに向けられたものだった。
本当に本当に、読むと胸が痛くなる記事ばかりで、
コッポラのファミリーに対してこんなことを思うのはおこがましいが、、とは思いながらも、
そこまで最愛の娘が世間にそんな形でお披露目されることになってしまい、家族はさぞかし辛いだろう、ソフィア本人も哀しんでいるのではないかしら、と、そんな想像までしてしまうほどだった。
なんていったって、ソフィアと私は同じ年!
世界には、そんな家族に生まれてきた幸せ者の運命とはいえ、
その年で世間の荒波に揉まれまくっている女の子もいるんだと、
秘かに’’負けるなコール’’を発していた私だったのだった。
そんな流れのまま、19歳の私は恐る恐るゴッドファーザー・パート3を観たのだったけれど、
感想は観てびっくり。
ソフィア・コッポラがなんて可憐なんだ!!
世間でのあの酷評はなんなの、いったいなんなの?!!
というものだった。
それから現在に至るまで、パート3をけなす人たちに会えばその機会を逃すことなく、
「続きモノの宿命とはいえ、
続きモノにはその良さもあり、マーロン・ブランドのパート1と比べちゃーアカンよ!」
と弁護にまわっていた私であったが、
言われるのは決まって、
「それでもパート3はひどすぎる、ソフィアがいけない」
というものだった。
そんなパート3が先日テレビでやっていた。
私もとうとう意見が変わるかも?!と思ってやはり今回も恐る恐る観たのだが、
やっぱり、今見ても感想は1ミリとも変わらず、
ソフィアが最高に良かった。
私、間違えていなかった!!!
と思ったらとっても嬉しくなった。
まぁ、映画の感想なんて正解もハズレもなく人それぞれなのだが、
それにしたって、今だかつて、ただの一人も、
ゴッドファーザー・パート3のソフィア・コッポラ最高!!
と言う人に会ったことがないのはどうしてなんだ??
皆が声をそろえて、
ソフィアがひどすぎる!!というのは何故??!
ちなみに、私の弟も、
「ショックだ~、あんなブス使って~!」
と嘆いていたが。
誰がブスだって?
こんなブス、いるか??
おい、弟よ、これがブスだったらあなたの姉については普段どう思われているんですか??
姉ということで何か免除でもされているのだろうか。。。
人間の部類にも入っていないとか。
とにかくこれの、どこが、どう、ブスなんだ、オイ??
このファッションも見どころです。
うわ~、、可愛い。。。
こういう、ちょっとクセのある表情のせいなのかな、あんまり男受けしなかったのは??
細細なプロポーションじゃないところとかかも?
でもね、そこがいいのだよ。
マフィアの世界にいながら、大切にマイケル・コルリオーネに育てられています、といった純真無垢なおっとり感がいい。
もう一回訊きます、弟よ。
誰がブスだって? え?
とんでもない美人だ。
ところでこの耳飾りの長さがツボ。
当時それに絶賛した私だったけれど、今回もきちんとツボだった。
そういえば、オペラの時のドレスも当時と同じく素晴らしいと思ったし、
とすると、私の好みって変わっていないんだねぇと、ちょっと驚いた。
父親のコッポラとの写真。
そのままマイケル・コルリオーネとの関係のようだ。
彼女のパート3での演技の何が良かったかって、
とにかくこの雰囲気。
それは多分、演劇学校では学べないもので、実際にそういう親子関係にないと、
映画での父マイケルを敬愛する様子は表現できなかったと思う。
それを言ってしまったら、結局のところ、ソフィアの演技力を評価してないじゃないか!との反撃も食らうのだけど、
でもその雰囲気がこのパート3では全てと言っていいのであって、
彼女のこの無垢な姿がなければそもそもパート3は話として成り立たないのだよ~。
本当に、今回つくづく実感した、
ウィノナ・ライダーじゃなくって良かった!!!
本当に、誰かいないかね? 私もゴッドファーザー・パート3のソフィア・コッポラにやられちゃいました!ってお人は?? 連絡おくれ。
2013年3月22日金曜日
ベーグル作り
最近、ニックがベーグルを作るようになった。
ベーグルは、もちろん、しっかり綺麗に作ろうとすると大変だろうけれど、
家族で食べる用だったら、本当に手軽にできる。
そんなお手軽さの上においしいとなったら、食いしん坊のニックが自分で作りたくなるのも自然な流れ。
私はといえば、ニックが作ってくれるんだから、とっても有り難い。
だいたい、パン職人がみんな男なのは、力仕事なんだから当たり前、
ニックが作った方が私の百倍も美味しいのよ!
と言って激励している。うっしっし♪
ドライイチジクを4個分切っていれるのがお気に入りのレシピなのだが、
4個とはいってもそこはドライ、
固くて、細かく切るのは結構大変で、
それもニックがやってくれるようになったのだから、本当に楽だ。
私の担当は茹でて焼くだけになった。
これは最初の写真の次の日のベーグル。
ハマると連続して作ることが多い傾向の私達は、3日続けてベーグルなんて日もある。
いつも載せているものとあまり変わりはしないのだけれど、最近は薄力粉の方が多いレシピなので、ニックが忘れないように、ここでまた覚え書きしておこう。
ベーグル8つ分
薄力粉 300g
強力粉 200g
砂糖 15g
塩 8g
ドライイースト 4g
ぬるま湯 280g
(好みで;)
ドライフルーツ(ドライイチジク、クランベリーなど)
シナモンパウダー
1;<まずは生地作り>
塩を抜かした全部を箸でぐるぐる混ぜたら、今度は手で捏ねる。
5分ほど捏ねたらそこへ塩を投入、5分ほど捏ねる。
そこへ刻んだドライイチジクを投入、シナモンパウダーを投入して、生地が滑らかになるまで捏ねる。(入れなくても美味しい。気分で。)
2;<成形>
8等分し、丸める。
丸めた順に、ちょっと真ん中をつぶすような感覚で生地を押しながら、上下を合わせて棒状にする。
棒状にした順に、転がして、今度は20センチくらいの長細い棒上にする。
出来た順に、ひねりながら、輪を作り、両端をつまんで止めてリングにする。
3;<発酵>
暖かめな場所で40分ほど。
4;<ベーグルにするために>
ハチミツをスプーン一杯ほど溶かしたお湯で片面づつ40秒ほど茹でる。
5;<焼成>
茹でたものを、水を切りながら素早くオーブンに入れて190℃で15分ほど。
朝食にもランチにも夕食にも、大好きなベーグルならいつでも嬉しい。
2013年3月19日火曜日
水仙
置きっぱなしでその存在さえも忘れていた鉢植えに、水仙が咲いていた。
バルコニーの奥の壁際の、しかも日本でいえば4階の高い場所で、
イギリスのびゅんびゅん吹きまくる風に耐えながら、
こうして綺麗に咲いてくれている。
何年か前のこと、3月の終わり頃に福井県の敦賀へドライブした時に、高波で荒れる日本海に向かって凍えるような風に揺れながら崖っぷちで咲いていた水仙を見ていたから、よほど強い花なのだろうとは分かっていたが、
ロンドンのとんでもなく荒れ狂う突風が吹きまくる中でも茎が折れることもなく、左右に前後に体を揺らしながら咲くその姿に、改めて感心させられる。
強いことは素晴らしい。
水仙は、日本では、その長持ちする生命力のお得感からなのか、枯れる時も花びらが散乱しないからなのか、それともただ単純に”水洗便所”に引っかけられたためなのか、
小さい頃から学校のトイレとか、サービスエリアのトイレとかで見かけることが多かった。
花の形にも色にも、取り立てて心惹かれることもなく、いまだに決して好きな花ではない。
けれどイギリスのこの暗くて長い冬を過ごすうちに、
2月の終わり頃になって公園の隅の方でひっそりと群生し始める水仙を発見するのが嬉しくなってきている。
あとひと踏ん張りですよーという気にもなってきて、心が躍る。
とはいっても、そこからがまた長いんだけれども。
ところで水仙と言えば、日本人にとってはワーズワースの詩『水仙』の方が実際の水仙の花よりも親しみがあるのではないだろうか。
日本人はイギリス人に負けずフランス人にも劣らず、詩という文化に対してとても積極的で、
このワーズワースの『水仙』もずっと以前から日本では読まれてきた。
私も幼い頃に父が読んでくれたものだった。
しかし、その時の私にはその詩のどこが良いのか全くわからない。
はっきりと、「そんな詩は全然好きじゃないから、聞きたくない」とまで言ったのだった。
それが!である。
先日久し振りに本棚を整理していると、「イギリス名詩選」(平井正穂編)という父の本が出てきたので手に取ると、彼がよく読んでいたせいで、その『水仙』のページが自然に開いた。
おぉ~~~~~~っ! 私が好きじゃないやつだ~!
と思いながら読み始めると、
生まれて初めて、その詩に心惹かれたのだった。
なんでだろうね。。。と思ったら、答えは簡単、
年を取ったせいなのだ。
そんな嬉しくも哀しくもある発見だったので、
記念にここにその詩を載せておいて、
いつでも読めるようにしようと思う。
The Daffodils
I wander'd lonely as a cloud
That floats on high o'er vales and hills,
When all at once I saw a crowd,
A host of golden daffodils,
Beside the lake, beneath the trees
Fluttering and dancing in the breeze.
Continuous as the stars that shine
And twinkle on the milky way,
They stretch'd in never-ending line
Along the margin of a bay ;
Ten thousand saw I at a glance
Tossing their heads in sprightly dance.
The waves beside them danced, but they
Out-did the sparkling waves in glee ; -
A Poet could not but be gay
In such a jocund company!
I gazed - and gazed - but little though
What wealth the show to me had brought.
For oft, when on my couch I lie
In vacant or in pensive mood,
They flash upon that inward eye
Which is the bliss of solitude ;
And then my heart with pleasure fills
And dances with the daffodils.
水仙
谷を越え山を越えて空高く流れてゆく
白い一片の雲のように、私は独り悄然としてさまよっていた。
すると、全く突如として、眼の前に花の群れが、
黄金色に輝く夥しい水仙の花の群れが、現われた。
湖の岸辺に沿い、樹々の緑に映え、そよ風に
吹かれながら、ゆらゆらと揺れ動き、躍っていたのだ。
夜空にかかる天の川に浮かぶ
燦(きら)めく星の群れのように、水仙の花はきれめなく、
入江を縁どるかのように、はてしもなく、
蜿蜒(えんえん)と一本の線となって続いていた。
一目見ただけで、ゆうに一万本はあったと思う。
それが皆顔をあげ、嬉々として躍っていたのだ。
入江の小波(さざなみ)もそれに応じて躍ってはいたが、さすがの
燦(きら)めく小波でも、陽気さにかけては水仙には及ばなかった。
かくも歓喜に溢れた友だちに迎えられては、苟も(いやしくも)、
詩人たる者、陽気にならざるをえなかったのだ!
私は見た、眸(ひとみ)をこらして見た、だがこの情景がどれほど豊かな
恩恵を自分にもたらしたかは、その時には気づかなかった。
というのは、その後、空しい思い、寂しい思いに
襲われて、私が長椅子に悄然として身を横たえているとき、
孤独の祝福であるわが内なる眼に、しばしば、
突然この時の情景が鮮やかに蘇るからだ。
そして、私の心はただひたすら歓喜にうち慄(ふる)え、
水仙の花の群れと一緒になって踊りだすからだ。
こうして英語、日本語で書いていると、改めて面白い。
書くということは、勉強になるんだな。
ところで”燦めく”を本にあるように”きらめく”でタイプしたのだけれど、出てこない。
燦然の”さん”で、”さんめく”と入れてタイプしてやっと出た。
訳者が訳してある通りに、本の通りにしたいので、行もふりがなもそのままにしたけれど、
訳詩というのもこうして並べてオリジナルと比較すると興味深い。
それにしても、この詩を好きになったなんて、
やっぱり、着実に年取ってるんだな、私!
’’1802年4月、ワーズワースが妹と散歩している途中、水仙を見たことから書かれたこの詩。
ただし、執筆は1804年のことで、1807年に出された『詩集』の中で公にされたのもという。
そしてかの有名な題名は彼が付けたものではなく、一般に呼びならわされているものに従った。’’
そんな説明書きも本には付いていた。
他にもバルコニーではプリムラが花を咲かせた。
黄色はこの曇天の寒空の下ではなおさら明るくて良いね。
プリムラも丈夫な花で、手入れも何もしなくても、毎年たくさんの花をつけてくれる。
どうなるかと思っていたバラも、だんだんと新しい葉っぱを出してきている。
こんなに寒くても、やはり3月には違いないんだなと、
春を愛するイギリス人の気持ちがよく分かってきた最近のロンドン生活である。
2013年3月16日土曜日
写真家マン・レイ展 ;ナショナル・ポートレイト・ギャラリー
ナショナル・ポートレイト・ギャラリーでマン・レイの写真展があったので、
ニックに誘われて行ってきた。
土曜日だから混んでいて入場制限もあったのに、それでも大変だった!
最初は人の肩と肩が重なるその後ろからつま先立ちで覗き込んでいたのだが、
もともと写真なのでそこまで大きくないからかなり近寄らなければ詳細は見えない。
そのうちにバカらしくなり、適当にぷらぷら歩きまわり始め、
ついつい、”今回初めて作品〇〇点も集められた〇〇の美術展!”とかの前宣伝に毒されて、気が付けばなぜか全部一点一点丁寧に見なければ!!と気負いまくってしまうんだよね~ダメよね~、
と1人で苦笑いしていると、
驚いたことに、入り口から新たに入場してくる人達が、列を守ってそのまま一歩一歩前に歩き、順々に端から一枚一枚の写真を眺めているのに気が付いた。
列に並ぶのが大好きなイギリス人の性なのか?!!と思うとちょっと興味深く、その様子をじっと観察していると、たまたまなのか、フランス人は絶対に並ばず、スペイン人やドイツ人も一枚ずつ見ようかどうしようかなんとなくプラプラ系。
イギリス人て並ぶのがホントに好きだなぁ、、と思ってしばし感心していた私だったけれど、
そうだ、この展覧会、結構高くて12.70ポンドもしたんだった、
さっさとちゃんと見なければ。。。と心を入れ替えて、自分も一枚一枚見ることにした。
(もちろん列には並ばなかったけれど。)
そんな写真達はもちろんマン・レイ、見ていてどれもストーリー性のある楽しいものだった。
展示は時代に分かれて構成されていたのでとても見やすく、
マン・レイのカメラ人生が浮き出たものだった。
影や動きが彼のシュールレアリズム的イメージを作り上げあいる作品はもちろんのこと、
ストレートなポートレイト写真もたくさんあり、
私のようなミーハー写真大好きさんにはキキの写真やハリウッド時代の写真も面白いが、
大好きなエコール・ド・パリ時代のアーティスト達の写真がたまらない。
しかし残念なことに、彼がパリへ渡ったのは1921年の7月、
モディリアーニが死んだのは1920年の1月だったから、
モディリアーニの写真はない。
ところでこのパンフレットはモデルのリー・ミラー。
いきなりパリのマン・レイのスタジオまで行って、
「私はリー・ミラー、あなたの助手になります」と、
”なりたいです”、っていうより、”なります”口調で挨拶したというエピソードが、本当かウソか残っている、押しかけリー・ミラーである。
もちろん、すぐにマン・レイのミューズになった。
そしてお決まりの恋愛関係。
それまでは雑誌ヴォーグのモデルもしてたほどのキャリアだったのに、わざわざ、マン・レイに会うためにニューヨークからパリへ向かったというからすごい。
もちろんその美貌もすごいのだけど、
たまに、角度によっては私が好きなグウェン・ステファーニに似ているのだけど、
横顔のラインがあまりにも美の極致としか言えない写真の前では動けなくなる私だったのだけど、
それでもリー・ミラーは暗く、マン・レイの陰影よりも暗く、
彼女の顔を眺めているとなぜだか私の心も暗くなっていくのだった。
今回の展示で一番好きなポートレイトはエリック・サティのものだった。
まるでサティの音楽が聞こえるような柔らかくて暖かくてユーモアのある写真だった。
しかし私にはかの有名なソラリゼーションというものも、
実際に写真を見てもどこがどうなのかちんぷんかんぷん。
現像時に露光過多のせいで白黒写真に起こる、白と黒の反転現象なるその現象を意図的に作り上げたものをそう呼ぶのだそうだが、
リー・ミラーが現像中に間違ってドアを開けてしまった失敗作を、マン・レイが面白がったのが始まりとかいう、どうだかな~な話もあるそのソラリゼーション、
イマイチ、現物見ても、わからない。
誰か、そういう展覧会に行くときには一緒に行って説明してくれるような人がいたら、さぞかしもっと理解も深まって別の見方も出来るかもしれないけれど、
私はひたすら、
わーー! コレどうやって撮ったのかね、綺麗だねー! とか、
あーー! ピカソだー! とか、
あーー! カトリーヌ・ドヌーヴだー! とか叫ぶばかり。
周りは結構なカメラマンの卵やら芸術家たちが鑑賞している中で、
浮いていたかもしれない。
ところで、マン・レイの一番の成功は、
マン・レイ
というその名前を彼が作り上げたことじゃないかとつねづね思っている私である。
2013年3月15日金曜日
モヘアの糸でお花
Black sheepでネット買いした糸で、苦手なモヘアお花がやっとこさ出来たのはいいが、
テストだと言いながらいい加減にテキトーに作ったので、実は同じものを2個作りたいのに作れない。
どうしようか。。。
鎖編みを長---く編んで、そこから2段目を作る感じで適当に長編みしたり細編みしたりしていく。
最後にくるくるくるくる巻くだけ、、、
のはずが、2個目が難しいのはなぜだろうか。。。
やはり、テキトーながらもきちんとメモ取りなさい、ってことだろうなぁ。。。
ズボラじゃ~いかんのだよ。私。。。
2013年3月14日木曜日
大英博物館でポンペイ展
LUCIUS MAMMIUS MAXIMUS
ホワイトデーなんてものは英国にはないけれど、
気分がホワイトデーだったので、どこかに出かけようと思い、行った先は大英博物館。
3月の28日からポンペイ展が始まるので、BC2世紀のローマの執政官だったというこのお方も一足お先に玄関先でお披露目されていたのだった。
ポンペイ。
79年の8月24日にヴェスヴィオ火山が大噴火して、一昼夜火山灰が降り続け、翌日25日の火砕流でポンペイ市は地中に埋もれてしまったという、あのポンペイ。
火砕流とは、”かさいりゅう”と読み、気体と固体粒子からなる空気よりもやや重い密度流”であり、火山が噴火した時に、高温ガスや灰や岩石が雪崩のように流れる現象である、とあるが、
そんなものが100キロの速さで有毒ガスとともに追いかけてきたのだから市民は逃げられず、ポンペイの町もろとも、地下5メートルの深さに埋もれてしまったのだ。
しかし18世紀に発掘が開始され始めてからというもの、そのローマ時代の遺品の美しさに世界中が驚くこととなる。
なぜ美しさが損なわれずにいたかというと、火山灰を主とする火砕流堆積物には乾燥剤に使うシリカゲルに似た成分が含まれていたため、町中をきっちり覆い尽くしたそれは湿気を吸い取り、美術品の劣化は最小限に食い止められたからだという。
写真のルシアス・ミニマス・マキシマスさんも、おかげで少しの損傷もなく、そのままの姿で取り出されてこの姿、わざわざナポリの町から来てくれたのだという。
今回の展示では、彼を筆頭にしたコインや壺や壁画の美術品はもちろん、
発掘時に遺体が腐ってなくなって空洞が出来ていたところへ考古学者が石膏を流し込み、逃げたり苦しんだりするポンペイ市民の姿を再現したものも展示されるという。
写真にでさえその時の恐ろしい様子がはっきりと表れているから、
それらを実際に見ることができるのだと思うと、かなり興味深い展示になりそうだ。
他にも、焼かれたパンなんてものもあり、本当に、その瞬間まで人々は普通に生活していたことが分かる。
それにしても、津波なんて言葉がなかったその時代のこと、噴火についてのプリニウスの記述には海の水が引いていく様子などがあって、その後に起こった津波が別の言葉で表現されているのだが、
原発はなかったしね、、、とつい思ってしまうのが哀しい。
ポンペイ展は9月の末までやっているというから、絶対に見に行こうと思う。
おまけ;
ルシアスさんはコリントスをめっちゃくちゃに破壊した人らしい。
そしてコリントスの男達をとらえて兵士にし、女子供は奴隷にし、美術品の数々は奪ってローマに送ったというのだが、
その時の逸話で、彼が美術品に関しては全く関心もなく、敬意も払わず、
それらを船で送る際に、
「もし、損なうようなことがあればそれと同じだけの金額のものと変えといてね~」なんてことを言っていたらしい。
自分の像が今や世界で大切にされている美術品なんてことを知ったらどう思うのだろうか。。。
2013年3月13日水曜日
映画『ジャッカル』の恋愛
2010年にドイツのニュルンベルグに行った時に、かの有名なクリスマーケットで一目惚れしたテディベアがあった。
それは男の子で、ちょっとはだけた白いシャツの一方の端をズボンからはみ出させ、
サスペンダーをしてポケットを手に突っ込んだ、なんともクールなテディベアだった。
屋店の光の下でそのお店いっぱいに大小色とりどりのクマが並べられていて壮観な眺めの中、
ひときわそのクールベアがこっちを見つめているような気がした。
目が離せなくなってしまい、いくらだろうと思いながらでも高いだろうということは、一目瞭然のそのテディベアに近寄ると、200ユーロ弱。
200ユーロ、クマのぬいぐるみに使うなんてあり得ない!!
と、瞬間、思ったのだけど、やっぱりどうしても目が離せない。
しかし今までの私は、高い洋服にも靴にも鞄にもアクセサリーにも心を動かされたことがなく、お金もないし興味もない、、という具合だったので、
まさかここに来て、200ユーロをクマに支払うかも、支払いたいかも、、なんて思っている自分に驚いたのだった。
それで理性をこれでもかと働かせ、あきらめたのだけれど、
そのクマを見てしまってからのドイツでの滞在は、いつも頭からそのクマが離れず、
実際に頭を振って、誘惑を断ち切っていた。
ドイツ滞在も終わりに近づいた時、どうしてももう一度見たいとまたマーケットに戻ってそのテディを見ると、やっぱり無茶苦茶欲しい気分になった自分に再びびっくりしたけれど、
しかし今回は少し時間が経っているせいで周りを見る余裕もあり、辺りを見回すと、
目に入ってきたのはこの写真のクマだった。
なんて家庭的なテディベア!と思って手に取ると、彼女の手には別のクマがいて、それが昔私が知り合いからもらったのに無くしてしまった大切なクマにそっくり。
驚いてしげしげみると、付いていた値段が8ユーロ。
200ユーロのテディが欲しかったのに、今手に持っているのは8ユーロ。
もちろん、即決で買ってしまった。
けれども、普通だったらここでひとまず落ち着くはずの物欲はなんとそのままゴロンと寝転がったまま動かない。
驚いたことに、最初のクールベアが欲しい気持ちには1ミリも変わりがないのだった。
それでも、買わない200ユーロも出さない、と決心をし、
ニュルンベルグを後にした。
しかし、飛行機に乗る前、
やってしまったーーーーっ!!
と大・大・後悔。
だから今でもこの小さなクマを見ると、そのクールベアを思い出し、
買っていれば今頃はどの部屋のどこに飾ってあったんだろうと、
そんなことを想像してしまう。
そしていつも、ちょっとごめんね、的な気分にこのクマに対してなってしまう自分に苦笑する。
名付けて、”ホーミークマ”。
決してあなたを2番目に欲しかったワケじゃないよ。
1番好きだった女を手が出せないまま諦めて2番目の女と結婚したワケぢゃないよ。
と、こんだけの前置きでやっとタイトルとリンクするのだが、
このもやもやな気持ちを自覚する度にいつも決まって頭をよぎるのが映画『ジャッカル』。
1997年の映画のこれは、1973年の映画『ジャッカルの日』のリメイク版なのだが、
ほとんど似てはいず、オリジナルと言っていい内容になっている。
当時、主演がブルース・ウィリスとリチャード・ギアの2大スター競演とあって、かなりの話題を呼んだ。
典型的なハリウッドスター映画とはいってもそれなりに面白く、今観ても見所は満載。
とにかく、この中で描かれている恋愛部分が結構グッとくるんだよな。。。
で、多分、私の恋愛末路もこうなんだろうと、そんなことをチラとも考えながら観たその時を思い出して今の自分を見ると、
切ない恋愛の末路どころか、グータラ恋愛加減もいいとこなのだが。
でも、クールベアとホーミーベアのことを考えると、同じような恋愛してるか、、と思うのだよ。
映画の中でブルース・ウィリスが見せる七変化もポイント。
母が大好きなリチャード・ギア。
それよりなにより、
なんとシドニー・ポワチエも出てるんですよーー!
このシーンで、”あれ? ポワチエの方が断然背が高いの?”と驚いた。
しかしそんな渋いシドニー・ポワチエよりも本作品でめちゃくちゃカッコ良いのがこの彼女。
ダイアン・ヴェノーラという女優さん。
すごい存在感で、この映画のエンターテイメント度を確実に数段は上げている。
付け加えると、腹ぷくぷくなジャック・ブラックも出ている。
今は私も彼を見ても大丈夫になったけれど、以前は一目見るだけで気持ち悪くなって、とても正視できる俳優ではなかったのだが、
本作では、爽快な使われ方をしている。
今だにジャック・ブラックが苦手な方はどうぞこの映画を!てな具合。
ところでこの映画は亡き父と観たのだが、
やっぱり恋愛の部分にグッとやられていたようで、
相手役の女性が出てくるシーンでは1人で頷いていた。
さすが、
森鴎外の小説のヒロインに憧れているだけあるな、、と、
ちょっと感動、少し呆れた私だった。
41歳にもなる今の恋愛感は、
「私あなたが好き!」って言ったら、「僕も君が好き!」って言って、
じゃあ結婚しようそうしよう、みたいな、
そんな単純さがなんともいいなぁと思う。
今度もしあのクールベアに再会することが出来たら、
「私あなたを買いたかったの!」って言って即買いしようそうしよう。
2013年3月11日月曜日
映画『ヒッチコック』
ゴシップ的だったらどうしよう、哀しいヒッチコック像だったらどうしよう、ヘレン・ミレン苦手だしどうしよう、、、
心配しながらも、結局は大好きなアンソニー・ホプキンスがどんな風に演じているか興味が抑えきれず、観に行ってきた。
本当は、映画館まで行って観る気が最初は全然なかったこの映画なのだけど、
ある日、ニックが最近の数ある上映中の映画で観たいものを羅列するも、ヒッチコックは全く出て来ず、しまいには「『リンカーン』にしようか」なんてことを言いだしたから、
ダニエル・デイ・ルイス×スピルバーグ?!
そんなキョーレツ苦手タッグ組まれた映画なんて、あくまでリストの最後だった私が、
「だったらヒッチコックに行くわい!!」
と、言い放ったワケだった。
そして一度そう口に出したら、なんだかとても観たくなってしまったのだった。
感想はと言うと;
とっても良かった!観てよかった!!
ヒッチが可愛く描かれていた!
全然ゴシップぽくなかった!
アンソニー・ホプキンス大好き!
ヘレンミレンでさえ良かった!
いろいろ書いて、まだ見ていない人の邪魔はしたくないから書きたくないが、
でも、セロリが食べたくなった映画だったとは書いておこう。
この人、この写真だけ見ても、誰がモデルかすぐ分かるほど似ているけれど、
映画の中であんまりにそっくりで、吹き出すほどだった。すごい。
James D'Arcyという俳優らしい。
この日はめっきり凍える中、レスタ・スクエアのODEONで観た。
大きく飾ってある看板は相変わらずの『レ・ミゼラブル』。もういいって。
3月ももう11日になるのに、あまりにも冬な気温だった。
2013年3月9日土曜日
ラ・ドログリーの糸でベレー帽
京都のドログリーで買った帽子を作るための糸とレシピに手を付けずに放置して数年。
そのままイギリスに持ってきたのを放置して2年。
やっと、とうとう、作り始めて、とうとう、やっと、出来た!
なぜそんなに放ったらかしにしていたのかというと、ドログリーの糸だから、ってことに限る。
このキッドモヘア、90%がキッドモヘア、10%がポリアミドで、糸が太く毛足が長く、早く編めれるといえばそうなのだけど、編み直しが見るからに難しそうだといくら編み物初級クラスの私にも分かるほどのもこもこぶり。
でもこの糸を初めてお店で一目見て、その場から離れられなくなってしまったほど、ドログリーにある全ての糸が可愛らしさ全開の中でもこの糸のキュートさっていったらなかった!
それで数ある色の中、散々迷いながら、霞みがかった淡いピンクの糸を買ってまずは姪っ子達のマフラーを作ってみた。
普通のメリヤス編みだったけれど、もこもこ糸と針の動きがまだ分かっていなかった私は悪戦苦闘はしたものの、出来上がりはまさにドログリーの糸様様な、それはそれは雰囲気のあるマフラーで、それにかぎ針で作った小さなお花を先に散らしたら、なんとも素敵になった。
その昔、雑誌「Olive」が好きだった、実は隠れロマンティック趣味を持っている私の心も大満足。
それで調子に乗って、今度は大人帽子を編もうと濃いピンクの糸を買ったのだけれど、
やはりその時は今よりもまだ初心者、結構大変だったのだった。
なのにある日お店にまた行くと、今度はこの糸で編まれた見本のベレーがあるじゃないか!
編んでみたい、ベレー帽!!
そうして買ってしまった糸ともらったレシピ。
色はGrenaine、”ざくろ”と呼ぶらしく、とっても綺麗な色で気に入ったのだけど、気に入り過ぎて、失敗したくないと思うと、初めてのベレー帽なんて無茶な気がした。
だから、実はもうすっと糸のままだろう、、と内心思っていた糸がこうして形になって、
本当に嬉しい。
そして今更ながら、一本の糸を形にする編み物ってすごいもんだなぁと思う。
「”もう着なくなった古いセーターをほどいて、編み直しました”なんて人がよくいるけれど、すごいよね」と言うと、
「昔の人の知恵だからね」と父に返されたものだったが、
その技術が羨ましい。
最近になって見つけた毛糸屋さん『Nest』で買ったブローチを付けてみた。
大好きなツバメだったし5ポンド以下だったしで即買いしたもので、ニックに見せると、「ツバメだね~」と。
ツバメだね~。
そんな、分かり切ったことを言う時は全然心動かされていない証拠だ。
そして後日、帽子に付けて、さっそく出かけようとしたら、
「可愛いね!」とニックが大きな声を出した。
なんで反応がこの前と違うのよ?と聞くと、
ブローチって昔のものみたいだし、どうやって使うのかと思ってた、、と。やっぱりね。
そんなわけで、昔の知恵の編み物と、昔のものなブローチの組み合わせはこの冬大活躍してくれている。
2013年3月7日木曜日
ジャスミンの花
あんまり暖かすぎるのはいけないと言われて、ヒーティングのあるホールではなく、キッチンに飾ったジャスミン。
おかげでここ連日は、私達のフラットは玄関ドアを開けるとすぐにキッチンという作りになっているため、
外から帰ってきてドアを開けたとたんに、
ぱーーーーーーーーーーっっっとジャスミンの香りが襲ってきて、
まるで南国にいるみたいに気持ちがいい。
今まではどんなに気を付けても、味噌のにおいなんかがどうしてもぷんとすることも多くて、帰宅するたびに5秒は盛り下がっていた。
外から帰ってきて最初に生活臭を意識するのはなんとも哀しい。
これからできればずっと、こんなノスタルジックな香りに包まれて生活したいと思うのだが、
どうすれば可能なのかな?
そういえば、一人で生活している時はお花を飾ったり、アロマを使ったりしていたのだけど、
ニックと一緒に住み始めたら土曜日の朝にバラを愛でている時間は消滅していき、
日曜日の夕方にアロマ選びに時間をかけるなんてこともなくなった。
ところで、17年以上前、友達の両親の家に3か月以上もお世話になった時があり、その時の一番の思い出がその家の素晴らしい香り。
なんともいえない、ものすごく良い香りが家中のそこかしこにいつも漂っていて、私が思いっきり吸い込んで楽しんでいると「何やっているの?」とよく笑われたものだった。
芳香剤じゃそんないい香りがないだろうし、隠れた場所でアロマを焚いているわけじゃないだろうし、
なんだなんだと辺りを嗅ぎまわるけれど、何もみつからない。
とうとう我慢できなくなり、
そんなに良い香りがずっとしているのは絶対変だ、なにかあるぞと思って、どんな秘密があるのか友達のお母さんに訊いてみた。
すると。
「実はね、この家を買う前に下見で来た時に、私もあなたと同じようにこの香りにノックアウトされちゃったの、それで、即決でこの家を買ったのよ!」
と彼女。
「私も元の持ち主にその時に訊いてみたの。そうしたら、多分彼女が使っている香水の残り香のせいじゃないかと言われたわ。香水の残り香って感じの匂いじゃないと言うと、彼女は自分では気が付かないし、よく分からないけど、香りって言ったらそれしか思い浮かばないしって言うのよ。ずっとその香水しか使ってなかったせいじゃないかと、そう言われたわ。」
と笑顔で言う。
「だから、その日を境に、私もその香水に変えたのよ。だって別の香りをミックスしたくなかったから!」
と付け加える彼女に、
すごいな。
スケール大きいな。
と、さすがの彼女に改めてびっくりした私だったのだが。
でも、そんな香水の残り香のような匂いじゃないような、もっとなにか、フレッシュな、それでいてゴージャスな香りを家の下見で嗅いでしまったら、
全ての女の人が確実に心動かされる物件に違いない。
とにかくそれ以来、私もその香水を頑張って使い、しまいには部屋にも振り撒いてもみたのだが、
何年経っても、
ちがーーーーーーーうっっ!!
こんな匂いじゃないーーーーーっっ!!!
と、結局、諦めたのだった。
そんな彼女とは2年前、15年振りに再会できた。
もうすでに引っ越していて、初めて訪れることになった彼女の家に到着すると、
玄関のドアを開けて大きな抱擁で出迎えてくれた。
すると。
素晴らしく良い香りがぷわ~~んと漂ってきて、瞬間、
「やっぱりいい匂い~~~~~~~~~~!!」
と、挨拶もそこそこに叫んでしまった。
やはり香水の残り香とは違う、アロマとも違う、なんともいえない良い香り。
結局のところ、もともとの彼女の生活の仕方に関係があるんだと確信した私だった。
さて、ジャスミンの花の香りのせいで、再び香りの大切さを痛感するようになってしまった。
ジャスミンの花の時季は短いから、それを過ぎたらどうしようか。
せっかくアロマの本拠地・イギリスにいるのだから、
またそっちにでも手を出してみるか、、、などと考え始めているのだけど、、、
香りって難しい。
2013年3月5日火曜日
岡村靖之の『ぶーしゃかLOOP』
なんとなく気分が沈んでいたので、本も読む気がしなければ、編み物もピアノもDVDも気分ではなく、挙げ句に自分のコンピュータは壊れかけ。
しかたない。
いやいやながら、ニックの古いコンピューターに手を出して、youtubeをテキトーに触ってたら、
そうだ、岡村靖之はどうしてるんだ?と気になった。
先日のグラミーでプリンス見たせいかな。
と、検索してみたら。
これがあった。
すごくいい。
結構前のものらしいが、知らなかった。
沈んだ気分なんか、ぶゎーーーっっと吹き飛んでくれた。
アップル本社に連絡したい、世界中に流したい。
あ、でもアップルに使われても嫌だな。うん。
岡村靖之は健在!
すばらしいな。
2013年3月3日日曜日
ミレニアム・ブリッジ
1996年から作り始め、 名前の通りミレニアム2000年に合わせて出来上がったのはいいが、揺れたために2日目にして通行止め、「Wobbly Bridge」なんていうニックネームまで頂いてしまったという。
結局再開したのは2年もたってからで、
もちろん今はビクともしないが、しかし人々の頭にはその記憶が鮮烈に残ってしまったため、
いまだに嬉しくないその名前が出ることもしばしば。
ニックも、私がこの橋を褒める度に、必ず決まってWobbly Bridgeと言う。
それにしても、2年の余分な歳月が必要とされてしまったなんて、関係者は大変だったろうね。
2013年3月2日土曜日
バラ・マーケット
セントポール前でバスを降りて、向かう場所はバラ・マーケット。
セントポール側からミレニアム 橋を渡ってサウスバンクの方へ。
相も変わらずシャードが気になる私。
と、左に変な形の建物がある。
いったい出来上がりはどんなになるんだ?
何を目指しているんだ?
ニックに訊くと、「う~ん、、ウォーキートーキーだったかな、チーズグレイターだったかな」との答え。
まーーーーた、そんなニックネーム付けるようなビル立ててるのか!!
そして、これが完成図という。
↓
ウォーキートーキーだった。。。。。
ガーキン挟んですぐ左に見えるのがチーズグレイターらしい。
なにかテーマが、あるのだろうか?
せめて、ガーキン、チーズグレイター、ときたから、こうなったらキッチン&食べ物系で統一するとかさ。
しかし本当に、ロンドンはどこへ向かっているんだろうか。
この橋は好き。
渡り切ったらさっそくバラへ。
魚屋さん。
さすが土曜日、活気があった!
しかしバラでさえ魚売るのは苦心していそうだ。
イギリス人ほど魚を食べない国民はいないと思う。
甘いもの屋さん。
もちろん、鴨サンドも買った!
でも今日は食欲がないので最初から自分の分は持参したケースに詰めて、帰った後のお楽しみにした。
この鴨は油をさんざん落としてカリカリにしてあるから、家で食べる時もパンがぐちゃぐちゃになっていなくて嬉しい。
ところで、鴨サンドを持ち帰るためだけではなく、プラスチックの食物用ケースはマーケットに行くときに結構便利だと思う。
チーズを詰めたりチョコブラウニーを入れたり、イチゴとかの柔らかい果物を買って、その後に街を少しぶらつきたい、なんて時には最適。
今度はもっと大きなケースでもいいな~なんて考えている。
運ぶのはニックだけど。
チーズ屋さん。
別のチーズ屋さん。
パン屋さん。
サワードーのパンを買ったら美味しかった。
ソーセージ屋さんがホットドッグ売っていた。
私がこの右端の女の子のコケティッシュさに目と心を奪われていたら、二ックはこれを食べたいと。
朝食も食べて、鴨サンドも食べたのに、まだ食べれるなんて、いいなぁ。。
おいしそうだし、くやしいな、、、と思ったら、後で食べないだろうとわかっていても、私もお持ち帰りを1個買ってしまった。
こういうのをイヤしいというんだな。
カムデン・パッセージにあったイタリアお兄さんのホットドッグには負けるけど、まぁまぁイケるよ、とニック。
またチーズ屋さん。
あのミニコーンにまぁるくのっかっているモッツァレラ可愛い!食べたい!と指差した私だけれど、食欲がない。仕方ない、ニックに食べさせてみよう、と誘うが、
ニックはモッツァレラの生ハム巻に興味があった。
「おーいーしーーーー!!」とニック。
そんなにおいしいの?と訊くと、
「普段食べているのとは全然違う」と。
いいな~、次回に見つけたら、絶対食べようと心に決めた。
また、チーズ屋さん。
ここはフォアグラとかテリーヌとか。
マーケットなのに、棚もあって、普通のお店みたいですごい。
すごい高そう、すごい美味しそうな牛ハム。
甘いもの屋さん。
オリーブ屋さん。
お塩やさん。
このチーズはまるで一見ドイツパンのようで。
中がすごく柔らかそうで、クリームみたいに薄切りパンに塗りつけて食べたらむちゃくちゃ美味しそうだ。
今回のバラ・マーケットに来た目的を果たすため、いつものオリーブオイル屋さんを探すけど、
全く見当たらず。。。
もうなくなったのか? そんなはずはない、、と歩き回るけれど、見つからない。
すっかりあきらめた様子のニックがコーヒーを買っているその時、男の人がぶら下げているバッグが目に入った。
まさに、探しているそのお店のバッグ。
ニックに頼んで訊いてもらい、場所が判明したので行ってみると、
こんなお店になっていた!
やっぱり、人気が高いんじゃない?とびっくりしながら、オイルを買った。
これで母の日のための、クレア用プレゼントが手に入ってひとまずホッとした私に、
「別にオリーブオイルじゃなくてもいいんだけどね」とノンキに言うニックだけど、
最近、人に何を上げようと考えだすと、とても時間がかかってしまう私には、
こんな美味しいオリーブオイルが一番ぴったりくる。
いまさらまた迷いたくないよ!!とニックを押して、バラを後にした。
それにしても、試食をいつもより多くしていたニックを見ていたら、
マーケットに来る時は食欲があった方が断然楽しいな、と思う。
次は絶対絶対、いろいろ食べるんだ!
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