2013年2月20日水曜日
ロンドンのフラット
日本からイギリスへ引っ越しが決まった時に、
「6ヶ月だけはフラット住まいだよ、そしてすぐに家を買うんだからね、だからすぐにまた引っ越しになるけど、だから忙しくなるけれど、いい?」と大口叩いたニックだったが、やはり大口だった。
気が付けばすでに二年以上が経過してしまっている。
案の定じゃないか~~~っっ!!と怒っても始まらない、
何せ相手はニック。
6ヶ月なだけなワケ、ないだろ!!と、もうそんな話は最初からちっとも信用していなかった。
当たり前だ。
10年も日本にいて、やっと自国に帰ることにしたのはいいが、自国での10年間の記録が何もないのだ、そう簡単に事が運ぶ筈がない。
イギリスへの引っ越しを決めたのは2010年の春だった。
しかもロンドン。
スコットランド人のニックがいきなりロンドンっていうのも私にはびっくりで、
いや、オマエさん、いきなりロンドンじゃ~なくってもいいんでないかい?
と説得するも、
「いや、ロンドンには職がある!」
と声高らかに、続いて、
「ロンドンで家を買わなければ意味がない!」
と言い出したのだった。
職って、あなたね、あなたの場合はどこでもできる翻訳でしょーが。。。
そりゃ~ね、ロンドンで不動産買ったら価値的にはいいかもしれないけれどね。
すぐに家なんか買えないんだし、何ものっけから家賃がバカ高いロンドンに住まなくても、いいじゃないか??
そう言うと、
「ロンドンに住んだら、ロンドン事情が分かるし、田舎に住んで何回もロンドンに足を運ぶ方が高くつく!」
とニック。
それはそうだけれども。
そういうことでとりあえず、ロンドンの不動産会社に連絡取りまくるニック。
もちろん、京都のアパートからである。
何回も断られて気落ちするニックが振り向いて、
「直接会わないと、信用されないからね、難しいね」とにっこり。
え?
もしかして、この人、一回もイギリスに帰らないまま、故郷でもない、頼れる友達もいない見知らぬ都会のロンドンへ、いきなりお引越しする気なの??
ちょっと待て!
ロンドンまで行って来いーーーーーーっっっ!!
にっこりするなーーーーーーっっっ!!!
と、思わず叫んだのだった。
しかしそんな気配は微塵もなく、もくもくとロンドンの不動産屋さんにメールしたり電話したりするニック。
この男、かねてから只者ではないと思ってはいたが、
ただ腰が異様に重いだけだった。。。
その重そうな腰を後ろから冷た~く眺めていると、いきなりクルッと振り向いて、
「直接会わなくても賃貸契約してくれるっていう不動産屋さんを探し出すとなると、かなり範囲も狭まってしまうんだよね」と、またにっこり。
にっこりすんなーーーーーっっ!!
直接会ってくれーーーーっっ!!
どんなフラットか自分の目で確認してこいーーっ!!
正直なところ、ニックが先にロンドンに行って、なんだったら家まで買い終わったところまでやってくれたら、こっちとしては荷物を引きずり回す回数が減ってかなり嬉しいのだけどね、
、、という魂胆でニックに話を持ちかけてみた。
あなただけなら最初は親の所に居させてもらうことも可能だし、親孝行兼ねてちょっとした骨休みもしながらゆっくり自分の国に慣れていけばいい、
そのうちにロンドンまで出向いてフラットを借りて住んで、一人暮らしの経済的記録を残しながら家を買うところまで漕ぎ着けたらいいじゃない? ま、とりあえず、2年ほどあったら、いいでしょう?と。
すると、ニック、
「じゃー、ミキはどうするの?」と。
まぁ、2年の間には私もそっちに足を何回か運べばいいんだし、家を買うのも一緒にするしね、今はネットがあるんだから、ファイルだってなんだってやりとり簡単なんだし、何も支障はないじゃない?と言うと、
「ダメーーーーーっっ!! 一緒じゃなきゃ、ミキは絶対来ないの知っている!!」
と叫ぶニック。
おーーーーー。よく分かっとるな。
OK, OK, こうしよう、
そんなに信じないなら、全てが完了した時点で二ックが私を迎えに来ればいい。
その方が、ニックもやる気が出て、家を買うのも早まるというもの。。。と一生懸命説得を試みた。
私にしてみれば、長年借りていたアパートをせっかく引き払うんだし、イギリスに興味があるわけでもなし、この際賃貸契約がない自由を満喫して、生まれ故郷を覗くのもよし、日本を旅してみるのもよし、
とにかく時間の逆算が出来ないニックにイライラさせられるのは当分勘弁してほしい、ましてやロンドンにいってからまた私がニックのお尻叩きをするハメになるのは真っ平ごめんというのが本心だったのだ。
しかし、そんな私の気持ちにうすうす気が付いているニックの答えは、
あくまで、「ノー!!!」。
しまいに出た数字が6だった。
「6ヶ月あったらさ、大丈夫だよ、だから、6ヶ月だけ様子見てよ、僕だってちゃんといろいろやれるんだよ。」と。
あーのーねー。。。。。
初めての土地にいきなり行って、
確認しないで借りるなんてどんな状態か全く恐ろしくて考えたくもないフラットに住んで、
ガスや電気の使い方や支払いを覚えながら部屋をなんとか住める状態に持っていって、
引っ越しの荷をほどきながら他の荷物が京都から船便で届くのを待って、、、
それと同時進行でお家探しして、私たちが万一すっごくラッキーで即見つけたとして、
そうしたら今度はお家を買う前のその物件状態を調べなければいけなくて、
それでも大丈夫だったら交渉に入って、
お金を上乗せしたり値引きさせようと奮闘したりして、
それが終わったら取引に入って、
もしそれがスムーズになんの問題もなく運べば、
今度はまた全てを荷造りして、買ったお家に運び込むの。
やっと引っ越しになるわけです。
それを、6ヶ月でやると?
日本から引っ越していく私たちが、やれると?
あの、何も動かないロンドンの土地で、6ヶ月と?
そう、おっしゃるんですね?!!!
と、私の口調もだんだんブレーキが利かなくなっていったのだった。
そもそも、あなた、どういう計算の仕方なワケよ?!!
と、最後は大絶叫。
いや、でも私の気持ちも分かってほしい。
こ奴、まったくもって、とんでもない計算をしてきては、エヘヘと謝る常習犯なのだから。
先日も仕事のことでまた大口を叩いて、
「こんな仕事なんて、すぐ、すぐだよ!」と、懲りもせずに繰り返すから、
「ねーねー、6ヶ月なんて、100%、無理だったでしょう? それこそ荷ほどきと船便の荷物の確認とボイラーとの格闘で6ヶ月なんて飛んで行ったでしょう? お願いだから、もううんざりするようなこと言わないでよ」
と言うと、
「え?? 6ヶ月なんて、無理に決まってるよ??」
とのたまうニック様。
「。。。。。。。。。」となった、その瞬間の私を想像して欲しい。
おまえだろ、6ヶ月と言ったのは!!!!!
あぁ。。。言い合いにもならない。。。
非常に疲れる。。。
さて、気を取り直して、写真は私のフラットでの一番お気に入りの場所にこの前買ってきたジャスミンの花を置いてみたところ。
昔も今も変わらず、大きさも関係なく、ホールと言う空間が一番好きだったりする。
そんなわけで、いつまでお世話になるか全く予定さえ立つメドがないこのフラットであるけれど、
こんなささやかな努力をしながらなるべく楽しもうとは思っている。
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