そんなわけで、ケンカしながら綺麗な夕陽を見ながらもこの夜泊まる場所になったウィトビーに近い村"ROBIN HOOD'S BAY"に着いた。
車内が寒かった上に窓を開けて写真をガンガンを撮っていたのですっかり体は凍えていて、しばらく車から降りられず、やっとこさ降りても辺りはもう真っ暗でなんにも見えない上に冷たい風が吹きつけて、ダンマリもまだ続いているからなんともミジメな気持ちだった。
泊まる場所の外観なんて全く見えないし、電灯も暗く、ますます心細くなってきて、
そういえば、なんでわざわざウィトビ―に来たんだっけ?と、自問すること10分、
やっと中に入ったらそこはやっぱり暗くて静かで、淋しい感じがする。
ニックが言うにはまだ若い夫婦2人と小さな子供一人が隣に住んでいて、ここは客が泊まるハウスらしい。
テレビや雑誌が置いてあるルーム。
リビングルーム。
CDデッキもあって、その横にはCDが積み重なっていたから勝手にかけてくつろぐ部屋らしい。
ボブ・ディランが一番上に置いてあった。
ふ~ん、ボブ・ディランか~、、、と思った次第。
この部屋に、ボブ・ディランねぇ、、、ふ~ん、、、と。
途端に私の頭はあそこに見える2つの額ぶち絵から遠のき、スキーロッジに早変わりした。
階段を上がった踊り場にある小さなスペースにも読書場があった。
ここかな、このハウスで一番気に入った場所と言えば。
ダイニングルーム。
ここで朝ごはんを食べるらしい。
体も少しは温まったので、疲れてもいるし遅いし、ご飯は今晩は抜きで、その代わりに小ドライブへ行こうとニックが提案。
提案するなんて珍しい!
いいよ!と即答で行った先は、ウィトビ―・アビ―。
真っ暗な中で、不気味な様子だ。
すぐ横にはユースホステルがあるけれど、さぞかし絶景に違いない。
学生たちは素晴らしい怪談の夜を過ごせることだろう。。。
実はウィトビ―は19世紀の作家ブラムストーカーが「ドラキュラ」を執筆した街であり、ドラキュラ伯爵がルーマニアから船で渡りついてイギリスに入ってきた港町がここウィトビ―なのだ。
そんなイメージも手伝ってか、この雰囲気はすごいねぇ、、と私が言っていると、ニックが横で、
「じゃ、行こうか」と車を降りようとする。
えっ? どこに行くのよ??
「もちろん、アビ―の中だよ、散歩したくない?」と、ニック。
したくないよ!! 散歩、したくないし!!!!!
「え?なんで?」
え?なんで?って、、、、、そりゃ~ないだろ、行きたくないよ、こんな真っ暗な中で、あんな古い修道院を徘徊したくなんてないわ!
そもそも、開いているワケないじゃないか??
「開いているよ~」とニックはあくまで散歩する気らしい。
あのね、開いているはずないよ、ここはイギリスだよ、こんな、いろんな人間にうってつけの場所が開いているワケないよ、もし、あそこが開いていたら、逆に絶対ヤバいと思うよ、あそこに行くのは。
と言ってみた。
「なんで? なんでヤバいの?」
あ~の~ね~!!
ここはイギリスなの!!
日本でさえもこういう所が解放されていたら治安的にどうかと思うのに、ここはイギリスなんだよ!!
こんな大切な場所にお馬鹿な子達が来て歴史的遺産をめちゃくちゃにするかもしれない可能性だってあるんだよ!
「そんなことする人いないよ~」と笑うニック。
かち~~~ん☆と来る私。
すぐ横にはユースホステルがあるし、開放なんて絶対されてないよ!と言い返す。
「なんで? ユースホステルがあると、なんで開放されてないと思うの?」
だって、変な人がウロウロしてるようだったらユース側としても困るでしょう?
「そんな、考えすぎだよ~! ははは!」と笑うニック。
そう?もしあなたに子供がいて、その子がここに泊まりに来ることになったら親としては下調べするでしょう? そしたらその真横がこんなに真っ暗なアビ―があって、そこを誰でもウロウロ出来るとしたら親としてあなた絶対反対はしないの??
と、そこまで言うか私と自分でも思いながらもやっきになって言い返す。
当然呆れ顔のニック。
まぁ、要はさっさと確かめたらいいだけの話なのだが。
しかし道中でのケンカもあることから、まだまだ険悪なムードの私達だからこんなことでもすぐ言い合いになってしまう。
ニックのいつもの能天気な行動さえも、こんな時はこの能天気野郎!!としか思えないのである。
結局のところ、やはり解放はされていなくて、それでもまだ窓の外からアビ―を眺めてハンドル切りながら、
「おかし~な~。。。」などと未練がましくぶつぶつボヤくニック。
おかしーのはオマエだーーーーーーっっ!!!
そして次の日を迎えた。
ピーカンの天気。
嬉しそうに、「見て見て、このトースター! こういうのが欲しいんだよ~!!」とまた朝から能天気に言うニック。
は?
こういうのって、どういうのですか?
私達が持っている、あの、イギリス全土で使われているト―スターと、いったいどこが違うのですか?
「こういう、どっしりした、いいやつだよ!」
は?
私達のトースターの問題は、パンが取り出せないというだけのことでしょう?
これだって同じ構造上、同じ問題があるに決まってるでしょう?
「ウチのは壊れてるんだよ、片方が全然焼けないよ、それか焦げるんだよ」
それはただ単にあなたの温度設定が悪くて2度焼きして焦がしているだけでしょう?!
違うよ、壊れてるんだよ、と言うニックに、
私が焼くときはいつもきちんと焼けてます!
とにかくあたらしい〝どっしりしたやつ”は買いません!!
と宣言して朝ごはん開始。
自分でもまったくもって朝から可愛くないのは分かっているのだけれど、、、と心をチクッとさせていると、
「こういうのはちゃんとトーストが飛び出すよ、きっと」と続けてまたもやイライラさせてくるニック。
ところでこのトースター、売る時はぜひ竹串付きで売ったらどうだろうか。
あれは6年前、ニックの両親の家に初めて滞在したときのこと。
このトースターを久しぶりに見た私は、おぉ~っ!懐かしい!と思い、
旨そうに焼けてくれるかな、パンが飛び出してくれるかな、とわくわくした気分で皿を持って待ち構えた。
3分後、プン☆と音がしたきり、何の動きも見せないトースター。
仕方ないから手で取ろうと奮闘していると、クレアが横から差し出したのが、竹串。
「ほらミキ、これを使いなさい。とっても役に立つのよ!」と。
私が、HOW CLEVER!!といったのは言うまでもない。
そんなことを思い出していると、いつの間にかトースターの周りに集まっている他のゲスト達。
「熱っ!! フォーク取ってくれない? それで取りだして見るわ、パンが挟まったまま動かないのよ」と言っている。
ほらね。
ニックを見ると、ニヤニヤした顔で、「分かった分かった、ミキが正しい。じゃ、トースター買わないから、そんな顔しないでよ」と言ってくる。
トースター、本気で買う気だったわけ?!
まったく、朝からからかいたいのかイライラさせたいのか、その真意はいっさい分からない、あくまでいつも通りのニックなのであった。。。
朝ごはんはヨークに続いてコーヒー以外は本当に美味しかった。
(ヨークで泊まったTHE GROVEはコーヒーまで美味しかったのだ!)
美味しいベーコンに美味しい卵にハーブたっぷり練りこまれた美味しいソーセージ、マッシュルームだって美味しいし、トマトだってシーズン終わっていないから美味しい。
こういう朝ごはんを日曜の定番にしたいなぁ、と思いつつ、でもロンドンでは無理だよね、、、と早くも諦め。
訊いてみると、やはり地元のものだけを使っているという。
「気付いてくれるなんて、すごいわ! ありがとう!!」と言われたけれど、
いやいやありがとうはこちらです、
しかし、誰だって気付くだろ。。。。
これが泊まったハウスの外観だった!
やっと見ることが出来たけれど、大きかったんだねとびっくり。
”THORPE HALL”という名前。 2人で一日80ポンドだった。
あれだけの朝食が付くんだから、日本よりは全然安いよな。
ところでこの村の名前ロビンフッド・ベイ、ロビンフッドとどういう関係だ?とニックが調べてくれたところ、
その昔、フランスのパイロットがこの村に来て物を強奪していったのをロビンフッドが取り返し、この村の人達に返したという歌詞の古い歌があるという。
なんとロマンチックな♪♪
昨夜は暗い上に、駐車場に車を止めてここを通ってハウスに入ったから、
その大きさには全く気が付かなかったよ~。
ということでまた車に乗って、ハウスを後にした。
次はウィトビ―の街まで行き、少し散歩した後、とうとう結婚パーティーへ向かう予定。
窓から見た景色、
ニックが言うにはこの海岸線をず―――っと歩けるらしい。
車を駐車して町歩き。
するとすぐに行列が見えた。
有名なフィッシュ&チップスのお店だって。
さっそくハドックをゲット!
おいしそ~~~~~~~~~~!!!
衣にビールを混ぜているのが特徴で、そのせいでカリカリサクサクだというし、
期待大!!
たっぷりのビネガーをかけて頂きま~す♪
フォークを突き刺すと、本当に衣がサクッて音を立てた!
魚の身は光っていて、こんな魚見るの、久しぶり。。。と感激。
イギリスもここまで来れば、ちゃんとした新鮮な魚があるんだね。。
こんな極上のフィッシュ&チップスもあるんだね。。
いいもの食べているイギリス人もいるんだね。。。
さっきのお店はフィッシュ&チップスをテイクアウェイする専門だけれど、その横には同じ店が経営するレストランもあって、いろんなシーフードを出すという。
土曜日だし、すごく長い行列だった。
『THE MAGPIE CAFE』がお店の名前。
マグパイという鳥の名前でイギリスのどこにでもいる、いわばハト見たいな鳥。
この絵のように、ハトよりは色的には綺麗だけれど、
ロンドンでもたくましく成長し続けその数は膨大、被害も甚大なんで、結構困ったちゃんな鳥なのだ。
それにしてもさすが有名店、箱にも気を使っている。
ここはキャプテン・クックが働きながら航海術を学んだ海の町でもある。
だからキャプテン・クックにまつわる場所や資料館があるらしいが、時間がなく、それはもしかしてまた次の機会があれば、、、ということで諦めた。
キャプテン・クックがこの町にいたなんて、考えるとすごいね。
フィッシャーマンの町に、いつか、少しの期間でもいいから一度は住んでみたいのが夢だったりする。
機関車トーマス?!!
なに?!!
そんなこんなでやっと、アビ―に辿り着けました。
青空の下、昨夜とは打って変わって不気味さは姿を消し、その姿をくっきりと鮮やかに見ることが出来た。
7世紀に建てられた修道院という。
その歴史を私は全然知らないけれど、なんでもヘンリー8世がその解散を命じたらしい。
あやつ。。。。。。。
なんで腹立てた?
何が気に食わなかった?
よくも綺麗に残ってくれたものだねぇ~とその姿に驚く。
壊れたからこその美しさもまたあると思う。
買ったものの気に食わないデジカメをいじっている図。
大きな修道院だったね。
なんて合成写真的な写真なの!
ヒューとクレアはこういうのが好きそうだから、ぜひ送ってやろう!
あそこから首をにょっきりだした所をニックに撮って欲しかったけれど、
まだなんとなくそういう雰囲気じゃなく、ダンマリのままだったから諦めた。
時間の経過を感じさせてくれる雄大な遺産だけれど、淋しい感じがするのもまたその歴史のせいだろう。
仲直りでもしようか、、という感じでなんとか二人で収まった写真。
そういえば、これが今回の旅行で二人一緒に写っているたった1枚の写真だった。
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