2013年3月13日水曜日

映画『ジャッカル』の恋愛


2010年にドイツのニュルンベルグに行った時に、かの有名なクリスマーケットで一目惚れしたテディベアがあった。


それは男の子で、ちょっとはだけた白いシャツの一方の端をズボンからはみ出させ、


サスペンダーをしてポケットを手に突っ込んだ、なんともクールなテディベアだった。



屋店の光の下でそのお店いっぱいに大小色とりどりのクマが並べられていて壮観な眺めの中、


ひときわそのクールベアがこっちを見つめているような気がした。


目が離せなくなってしまい、いくらだろうと思いながらでも高いだろうということは、一目瞭然のそのテディベアに近寄ると、200ユーロ弱。




200ユーロ、クマのぬいぐるみに使うなんてあり得ない!!



と、瞬間、思ったのだけど、やっぱりどうしても目が離せない。




しかし今までの私は、高い洋服にも靴にも鞄にもアクセサリーにも心を動かされたことがなく、お金もないし興味もない、、という具合だったので、



まさかここに来て、200ユーロをクマに支払うかも、支払いたいかも、、なんて思っている自分に驚いたのだった。




それで理性をこれでもかと働かせ、あきらめたのだけれど、


そのクマを見てしまってからのドイツでの滞在は、いつも頭からそのクマが離れず、


実際に頭を振って、誘惑を断ち切っていた。




ドイツ滞在も終わりに近づいた時、どうしてももう一度見たいとまたマーケットに戻ってそのテディを見ると、やっぱり無茶苦茶欲しい気分になった自分に再びびっくりしたけれど、



しかし今回は少し時間が経っているせいで周りを見る余裕もあり、辺りを見回すと、


目に入ってきたのはこの写真のクマだった。



なんて家庭的なテディベア!と思って手に取ると、彼女の手には別のクマがいて、それが昔私が知り合いからもらったのに無くしてしまった大切なクマにそっくり。


驚いてしげしげみると、付いていた値段が8ユーロ。



200ユーロのテディが欲しかったのに、今手に持っているのは8ユーロ。



もちろん、即決で買ってしまった。


けれども、普通だったらここでひとまず落ち着くはずの物欲はなんとそのままゴロンと寝転がったまま動かない。



驚いたことに、最初のクールベアが欲しい気持ちには1ミリも変わりがないのだった。


それでも、買わない200ユーロも出さない、と決心をし、


ニュルンベルグを後にした。






しかし、飛行機に乗る前、



やってしまったーーーーっ!!



と大・大・後悔。









だから今でもこの小さなクマを見ると、そのクールベアを思い出し、



買っていれば今頃はどの部屋のどこに飾ってあったんだろうと、



そんなことを想像してしまう。



そしていつも、ちょっとごめんね、的な気分にこのクマに対してなってしまう自分に苦笑する。











 

名付けて、”ホーミークマ”。



決してあなたを2番目に欲しかったワケじゃないよ。




1番好きだった女を手が出せないまま諦めて2番目の女と結婚したワケぢゃないよ。






と、こんだけの前置きでやっとタイトルとリンクするのだが、



このもやもやな気持ちを自覚する度にいつも決まって頭をよぎるのが映画『ジャッカル』。









1997年の映画のこれは、1973年の映画『ジャッカルの日』のリメイク版なのだが、


ほとんど似てはいず、オリジナルと言っていい内容になっている。



当時、主演がブルース・ウィリスとリチャード・ギアの2大スター競演とあって、かなりの話題を呼んだ。



典型的なハリウッドスター映画とはいってもそれなりに面白く、今観ても見所は満載。



とにかく、この中で描かれている恋愛部分が結構グッとくるんだよな。。。






で、多分、私の恋愛末路もこうなんだろうと、そんなことをチラとも考えながら観たその時を思い出して今の自分を見ると、



切ない恋愛の末路どころか、グータラ恋愛加減もいいとこなのだが。





でも、クールベアとホーミーベアのことを考えると、同じような恋愛してるか、、と思うのだよ。









映画の中でブルース・ウィリスが見せる七変化もポイント。










母が大好きなリチャード・ギア。


それよりなにより、


なんとシドニー・ポワチエも出てるんですよーー!



このシーンで、”あれ? ポワチエの方が断然背が高いの?”と驚いた。










しかしそんな渋いシドニー・ポワチエよりも本作品でめちゃくちゃカッコ良いのがこの彼女。



ダイアン・ヴェノーラという女優さん。


すごい存在感で、この映画のエンターテイメント度を確実に数段は上げている。

 



付け加えると、腹ぷくぷくなジャック・ブラックも出ている。

今は私も彼を見ても大丈夫になったけれど、以前は一目見るだけで気持ち悪くなって、とても正視できる俳優ではなかったのだが、


本作では、爽快な使われ方をしている。



今だにジャック・ブラックが苦手な方はどうぞこの映画を!てな具合。





ところでこの映画は亡き父と観たのだが、



やっぱり恋愛の部分にグッとやられていたようで、



相手役の女性が出てくるシーンでは1人で頷いていた。





さすが、


森鴎外の小説のヒロインに憧れているだけあるな、、と、


ちょっと感動、少し呆れた私だった。







41歳にもなる今の恋愛感は、


「私あなたが好き!」って言ったら、「僕も君が好き!」って言って、

じゃあ結婚しようそうしよう、みたいな、


そんな単純さがなんともいいなぁと思う。





今度もしあのクールベアに再会することが出来たら、


「私あなたを買いたかったの!」って言って即買いしようそうしよう。




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