2013年7月8日月曜日

アンディ・マリーがウィンブルドン優勝した日


ウィンブルドン決勝戦の日曜日は暑かった!





どーする? 今年は家で見るんじゃなくて、散歩がてら外に出たいな。去年街でウィンブルドン中継を大きなスクリーンでしていたでしょう? そんなのがいいんだけどな。それか、どこかのパブで見たいんだけどな、とニックに言うも反応が悪い。



なんで? 外暑いから? と聞くと、「そんなスクリーン、覚えていない」とニック。

でも、まあ一応出かけて行って、見つからなかったらパブに入ろうか、ということに話は決まった。



そしてあちらこちらをウロウロしてウィンブルドン中継スクリーン場所を探すもそんなのは全く見当たらない。だんだん試合時間も迫ってきて焦って歩き回っているのに、それどころか街に人が見当たらない。


え? なんで? ウィンブルドンのお祭り騒ぎ、ないの??



イギリス人が勝つかもしれないってーのに、お祭り、なし??




もし日本人がウィンブルドン決勝戦出場なんてことになったら、日本はそれこそ大騒ぎするのにな、テレビチャンネルなんてぜ〜んぶがそれだけになっちゃいそうだけどな、、
いやいや、いくらなんでもウィンブルドン、私が知らないだけで今頃はみんなで集まってむちゃくちゃ楽しくやっている似違いないよな、、、とか思いながらいつもの日曜日らしい静かなロンドンの大通りを歩いているうちになんだか哀しくなってきてしまった。




わいわい騒ぎながらテニス観戦したかったな、、、


周りのお祭り気分に一緒に混じりたかったな、、、



そーだよ、私には友達がいないんだよな、、、



どんどん哀しい気持ちになってニックの後ろをトボトボ歩いているけれど、ニックはそんな私の気持ちに全く気が付く様子もなく、無言でズンズン前を行く。



「もういいよニック、もう試合始まっちゃってるし、帰ってテレビで観ようよ」と言うと、「じゃ、パブで観よう」とニック。



でも、もうとっくに始まっちゃってるし、いいよ、帰ろうよその方が早いよ。と私が言っている間もニックはパブを覗き回る。


しかし私にしてみれば、すぐにでもテニスを観たい。


しかしニックはズンズン歩き回ってパブを物色。





そんなことをしているうちに、2人ともすっかり無言になってしまった。

私はと言えば、今頃はイギリス中がテニス観戦しているのに私は暑い中歩いていて、こうしている間にも試合がどんどん進んでしまっていっているのに、、、と思ったらいても経ってもいられない気持ちで一杯だった。



そしてとうとう、「ニックはテニス観たくないわけ?!!!」と叫んだ。



するとニック、




「ん〜〜〜、観たいな〜〜〜」




と。




そのあまりの能天気ぶりに(いつものことだけど)カッと来て(いつものことだけど)一人で別方向に歩き出そうとした私を見てようやく慌てたニックが、「あ、じゃ、ここ。ここにしよう!」と言って入っていったのがこのパブ。↓






ここか〜。。。。。。。


以前から見かけてはいたパブではあるけれど、テニス観戦って感じじゃないんじゃない?と言いながら入ってみた。






入ってみると、あったのはものすごい小さなテレビ。天井に近い場所にそんな小さなテレビが設置されているもんだからテニスを観ている少数の客達は、少数にもかかわらず
かなりテレビに近寄らなければならず、なので皆が固まるようにして座っていた。しかも首を上に向けている。そしてその首が痛いのかなんなのか、皆静かなのだった。


ここか〜。。。と再び思ったけれどしかしもう時間がないしな。仕方がないのでその小さなテレビ画面に向かって座っている客の横に座った。やっと冷たい飲み物を手にしてアンディ・マリーを見始めた。


試合は白熱、面白い。が、やはり周りの客はシーーーンと静か。

ああ、私がしたかったテニス観戦はこんなんじゃなかったのに!!




するとそのうちに女の人が変な雰囲気でパブに入ってきた。セクシーな服で物馴れた様子でカウンターに座って彼女もテレビをチラチラ。


男の人達は彼女をチラチラ。


ありゃ?


女の人はミニスカートの脚をスツールの上で組み直しながらゆっくりと客を眺める。


もしかして、彼女はプロの人??


そう思って周りを見渡すと、なぜかやっぱり妙な空気が漂っているパブだ。


ま、いいけど、なんか気が削がれるな〜、試合に集中集中、とテレビを見ていた私だったけれど、それから少しして途中でトイレに行こうと立ち上がってレストルームに入ると、その女性が自分の胸を上へ上へと押し上げていた。



やはり彼女は、、、と思いながら、席に戻る時に今度はしっかりとパブの店内を観察してみた。古そうだから、まあ、色々あるよな、きっと。。。とか思っているうちにとうとうマリーが優勝。



しかし、おお!!!!!と歓声を上げる客は誰一人もおらんかった。。。




そんなわけで、イギリス人の77年ぶりのウィンブルドン優勝で興奮するイギリス人を酒の肴にして楽しむという私のささやかな夢は全く叶わなかった。


次のチャンスはまた77年後か。。。








相当に古いパブだという。





セラーが床にある。古さとは関係ないけれど。








1666年に起こったかの有名なロンドン大火災で消失した建物の一つ『セント・ブライズチャーチ』という教会を立て直す際に、ここがその職人さん達の仮の宿のような場所になったらしい。由緒正しきパブってことだな。ちなみに建築家はクリストファー・レンだったという。






帰り道、ニックとその女の人の話をしながらだったせいで、ケンカもしなかった。
やっと盛り上がったのだった。







それにしても、優勝が決まったマリーは走って観客席に上っていったから、一瞬、ヤバい、まず最初にお母さんを抱きしめちゃったらどうしよう!!とか勝手に思った私だったけれど、逆に彼は母親には近づかなかった。観客席から降りようとした時に誰かに言われて母親のいる所までまた戻っていったのだった。恥ずかしかったのかね、それともそんなことチラとも考えなかったとかね。どちらにしろ、さすがスコットランド人だと思った。


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