2012年8月29日水曜日

石持浅海『水の迷宮』 





今読み終わったばかり。


ページ数が残り僅かになるにつれ、


まさかまさかまさか、そーゆー終わり方しちゃうのか????!!!



と思いながら読み進めたら、



本当にそーゆー終わり方だった。。。。。。



という物語だった。




感想は一言で言うと、”コワい”。




ミステリーとしてということではなく、

登場人物全ての思考回路がおそろしかった、ということ。


言ってみれば、日本人社会がコワいよ~。。。と思わせられる終わり方で、


終章ではゾゾゾとなるから。





イギリス社会では絶対に成り立たないな~、

エルキュール・ポワロも怒っちゃうよ、絶対。






そうしてそれを美しい感動話としてまとめているのか、それともこの作者は私のように怖がることを意図してこんな終わり方にしたのか、


そこがまた恐怖だ。








石持浅海のものは、『扉は閉ざされたまま』を読んだだけなのだけれど、とても好きだった。

なによりも、彼の書き方には赤川次郎バリの読みやすさがあって、それこそあんまり色々考えたくない時や疲れて何かに集中したい時にはサラッと一気読み出来る面白さがある。


なので他にも読んでみたいとはずっと思っていながらも、しかしこの人の本のタイトルには何故かカタカナが多く、カタカナじゃないものにもどことなく私の興味を削がせるものがあった。


そのせいでなんとなく敬遠しながら、


もしかしたら、『扉は閉ざされたまま』よりも面白いものはこの人は書いていないんじゃないかという気もしていた。



それが今年4月の日本帰り、体調を崩しまくっていた私はロンドンに戻る日が近づくにつれてまだ何の本も買っていないことに焦りを感じ、熱に浮かされたまま家の近くのブックオフでせいぜい10分を自分に与えてミステリーものを漁ったときに、手に取ったのがこの『水の迷宮』。



以前から本屋で見かけてはいたけれど、必ずといってその横に並んでいるのが『月の扉』なのでそこでまたなんとなく買わないでいたのがこの本だった。



しかし39度近くの熱がある私には躊躇しているヒマなどない!


やはりそこでも隣にしっかり並んでいた『月の扉』と共にサッと買ったのだった。







そんな経緯で読んだので、やっと、、、という感もあるが、


やっぱり嗅覚が当たっていたと言うべきか当たり前というべきか、『扉は閉ざされたまま』よりは私向けではない。


が、水族館が舞台というちょっと苦手な感がある舞台もすんなり入り込めたし思ってたよりは全然イケた。


推理の展開の流れもまずまずで、ミステリーとしても普通に娯楽的に楽しめたし、


ブックオフで350円払って良かった! 笑




そしてなんといっても、あと2,3冊はこの人の本を読みたいなと思ったから、私の好きな作家にちゃんとランクインしたのだと思うと嬉しい。


読む作家が増えるのはとても嬉しい。


カタカナもんも、読むぞ、読んでやるぞ。










ところで、私が買ったのは光文社文庫のもので、こんな感じで表紙も綺麗なのだけど、



裏表紙のストーリー略には、



「全ての謎が解き明かされたとき、胸を打つ感動があなたを襲う。ミステリー界の旗手が放つ奇跡の傑作!」




とあった。


しかし”胸を打つ感動”ではなく、あくまでも”胸を打つ恐怖”であり、

そして”奇跡の傑作”ではないのであしからず。








それにしてもこうしていちいち書き出してみると、素人じゃないのにこういう所に使うボキャブラリーやばいね。




”胸を打つ感動”に”奇跡の傑作”だって。



うぷぷ。



作者はイヤじゃないのかね??????





さて、次は『月の扉』にいくとしよう。





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