昨夜、「天に昇った男」を読み終えてからベッドに入った。
そしたら、良い夢と悪い夢を交互に見た。
昔、天に昇ろうとした男の伝説が残る”星里”の街が舞台。
祭りの日に、櫓に3人の死体が吊るされる。
犯人とされた男は17年の収監の後、死刑執行となる。
ところが奇跡が起き、釈放されるが。。。。。。。。
という話。
あとがきに、「平成の世に入り、死刑という異常が、具体的にはどのような形で行われているか、また、これが、どれほどこの平和な社会にそぐわないものであるかを知ってもらいたくて、この小説を書いた。」とあるように、 内容はかなりつらいもの。
それがこの作者特有のストーリー性でまさに島田荘司の世界となっているから、ますますショッキングに感じられたのだと思う。
ものすごい筆力。
死刑制度について考え始めたら深い沼の底にいるような感覚になってくる。
なんて恐ろしい事を人間は考え出すんだろうと思う。
それがたとえフセインに対しても。
その処刑を吊るす直前までテレビで見せたので、吐き気!!
まだ"社会”という言葉を知らない小さい頃に死刑の存在を知った時、考えた事。
まず、処刑を待つ恐怖を味わせる。
その日、処刑場まで連行し、いよいよという時になって、やっぱり止めた!と伝える。
縄を解き、袋を顔から外し、呆然としている死刑囚の前で、処刑場の隠し扉を開ける。
そこには細くて暗くてじっとりとした空気の通路がえんえんと続く。
驚き顔の死刑囚を連れて、えんえんと歩く。
何時間も。
疲れたら休むけど、その間は話せない。質問は許されない。
また何時間も歩く。
とうとう陽の差す、明るい場所に出る。
そこはとても広く、真っ白い場所で、彼と同じように連れてこられた死刑囚が大勢いて、それぞれもくもくと働いてる。名前はない。あるのは番号だけ。
そしていろんな物を作っている。ズボンやキレイなシャツ。肌触りの良い帽子とか。
その中で一番名誉な仕事は靴作り。とても頑丈で、色合いが良くて、足にぴったりして、一度履いたら脱ぎたくなくなる靴。
彼はそれらを一通り眺めた後、番号をもらい、働き始める。
う~~~~~~ん。。。。。難しいよな。
で、また、暗くて深い沼の底。
去年の9月、島田荘司さんのサイン会に行った。
その時期は、私にはいろいろな事が一挙に起こっていて、むちゃくちゃなスケジュールの毎日だった。
にもかかわらず、というか、だからというか、残暑のさなか、ジュンク四条店の前でわくわく緊張しながら長い列に加わった。
現れた島田荘司さんは麻の白いジャケットを着ていてさりげないながらもキリッとしてて、温かい人柄が滲み出ていてとても素敵だった。
作風通り!
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